犯罪と不法行為の違い【被害者支援Q&A】

質問:刑事上の犯罪と民事上の不法行為の違いは?

知人に騙されて仕方なくお金を貸したところ,FXに使い込んだらしく,その後1円も返してくれません。

明らかに嘘をつかれたので,詐欺事件として警察に届け出ました。すると,「これは民事上の詐欺だから民事事件で犯罪じゃない」と言われてしまいました。

詐欺は犯罪ではないのですか?

回答:民事上の不法行為でも,犯罪になる場合とならない場合があります。

法律上,人に損害を与える行為には,大きく2種類があります。民事上の不法行為と,刑事上の犯罪です。
また,詐欺には,民事上の詐欺(不法行為)と,刑事上の詐欺(犯罪)があります。
刑事上の詐欺(犯罪)なら民事上の不法行為になるのが普通ですが,民事上の詐欺(不法行為)だから刑事上の犯罪になるとは限りません。「犯罪<不法行為」です。

不法行為と犯罪の違い

民事上の不法行為とは,故意または過失の違法行為によって他人の権利・利益を侵害した者に対し,生じた損害を賠償させるための民法上の制度です(民法709条)。
これは,市民が共同生活を送る社会内で発生した事件・事故による損害を,その責任に応じて公平に分担できるようにすることを目的としています。

 

これに対して,刑事上の犯罪とは,社会生活上の利益を侵害する非常に有害な行為であって,中でも刑罰による制裁が必要なものを言います。
究極的には,一方で「罪に対しては必ず刑罰」を科し,他方で「罪にならない行為は自由に解放」することで,人が社会で生きる上での権利と自由を両立させることを目的としています。

 

両者の違いをもっと簡単に言うと,事件の当事者間で直接お金の問題にけりを付けるのが民事事件であり,不法行為の問題です。被害者から加害者に対する損害賠償(慰謝料)請求の場面です。

これに対して,国家(警察,検察,裁判所)が市民に刑罰を科すかどうかを決めるのが刑事事件であり,犯罪の問題です。警察が被疑者を逮捕・勾留したり,犯人が刑務所で懲役刑を受けたりする場面です。

 

もっとも,犯罪に対する刑罰の中にも「罰金」という制度があるため,犯罪と不法行為との違いが分かりにくくなっています。
罰金は犯人が刑罰として国家に支払うものですから,当事者間のお金の問題(民事)とは無関係です。そのお金は被害者に渡りません。

警察の民事不介入原則

民事事件(不法行為)が,要するにお金の支払いだけの問題になるのに対して,刑事事件(犯罪行為)の場合,罰金のほかに懲役や死刑などもあります。それどころか,裁判で有罪判決を受けるまでもなく,警察や検察の捜査対象とされるだけでも,実名報道されたり仕事を失ったりします。もしどこかで間違いがあったら取り返しがつきません。

子どものケンカにピストルを持ったお巡りさんがすぐに飛び出てくるようでは,かえって市民は困るのです。

そのため,警察や検察は,民事上の争いごとには原則として立ち入りません(民事不介入)。

 

また,犯罪として刑罰の対象になるのは,刑法などの細かい要件をすべて満たしていて,有罪となる証拠がある場合だけです。
民事上の詐欺(不法行為)であって損害賠償請求が認められる場合でも,刑事上の詐欺罪が成立しないことはあります。

やっかいな被害届・告訴状の不受理扱い

ただし,ご質問の件が本当に刑事上の犯罪(詐欺罪)にならないのかどうかは,きちんと弁護士に相談したほうがよいでしょう。
なぜなら,警察は,しばしば要件を満たした被害届や告訴状を受け取ろうとせず,被害者を門前払いで追い返そうとするからです。

 

警察では,被害者から被害届や告訴状を受理すると,その事件について捜査をしなければならなくなります。

しかし,受理した時点で証拠が少ないと,容疑者を捕まえるのは大変ですし,もしかすると何年も何十年も結果の出ない捜査を続けなければならなくなるかもしれません。そんなことが重なれば,成績(検挙率)もどんどん下がります。
そのため,本来受け取るべき被害届や告訴状を,なかなか受け取ろうとしないことが多いのです。

 

なお,被害届や告訴状は,弁護士を代理人として提出することもできます。

 

 

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