逮捕されるとどうなるのか?(3)-勾留か,釈放か

逮捕後は10日間の勾留請求が待っている

逮捕された後の捜査や刑事手続は,どんなふうに進んでいくのでしょうか。

 

警察は,逮捕した被疑者を,逮捕後48時間以内に検察官に引き継ぎます(検察官送致)。

警察が,逮捕した被疑者の弁解を聞いて(弁解録取),被疑者を留置する必要がないと判断したときは,直ちに釈放しなければなりません。

しかし,人違いで逮捕をしてしまったことがすぐにわかったような特別の事情でもない限り,実務上,直ちに釈放されることなどありません。

 

警察から被疑者を引き継いだ検察官は,同じように弁解録取という名の取調べをします。

そのうえで,24時間以内に被疑者を釈放するか,あるいは裁判官に対して「こいつをしばらく留置場に入れたままにして(勾留),その間に捜査を続けさせてくれ」と請求します。これを勾留請求と言います。

ちなみに,ここで「しばらく」と言っているのは,とりあえず10日間という意味です。

 

なお,警察官と違い,検察官は,事情によっては勾留を請求しないでしないで被疑者を釈放することもあります。

ただし,弁護人がついていない状態で,検察官が被疑者に有利な事情を酌み取って釈放してくれる確率は,極めて低いと言えます。

また,とりあえず一度釈放するけれども,捜査は続けるということもあります(在宅捜査)。

勾留を防ぐための弁護活動が大切

検察官から勾留請求を受けた裁判官は,証拠を見たうえで,必要があると考えれば,自ら被疑者の勾留を命じます。

勾留を請求するのは検察官ですが,勾留を命令するのは裁判官です。

 

裁判官が検察官の勾留を認める確率は,おおむね96~99%くらいです。

要するに,裁判官は,ほとんど自分の頭を使うことなく,ただ検察官の言うなりに勾留を命令しているというのが,実務の真の姿です。

したがって,いったん逮捕されてしまうと,かなりの確率で勾留され,少なくとも10日間は家に帰れなくなると考えておかなければなりません。

 

勾留されるかどうかは,いわば天国と地獄の分かれ目です。

勾留されることを防ぐためには,優秀な刑事弁護人による弁護活動が不可欠になります。