誰かを逮捕すると決めているのは,誰?

逮捕されるまでの流れ

逮捕するのは警察ですが,逮捕状を出すのは裁判官です。そうすると,誰かを逮捕すると決めているのは,本当は誰なんでしょうか。

もう一度,整理してみましょう。

 

逮捕は、法律で手順を決められた強制処分です。
そのため,通常逮捕では,法律に書かれた手続にしたがって,先に裁判官が逮捕状を発行して警察に渡し,警察がその逮捕状を持って行って捕まえます。

 

もちろん,裁判官が勝手に逮捕状を出しているのではありません。

 

逮捕状を出せと裁判官に請求しているのは,検察官または司法警察員(警部以上の警察官)です。

一般市民の事件での逮捕は,検察ではなく,ほとんどが警察による逮捕状請求です。
したがって,まず最初に警察が,誰かを逮捕をしたいと考えて裁判所に要求し,警察の要求を受けた裁判官が逮捕を許可し,裁判官の許可を受けた警察が実際に逮捕している,という流れになります。

裁判官が逮捕状を出す意味は?

どうして法律は,こんな面倒くさい手続を要求しているのでしょうか。

警察や検察が逮捕したいと思ったらすぐに逮捕できるようにしていないのは,何故でしょうか。

 

警察も検察も,強大な権力を持っています。警察官とは,常に拳銃を持ち歩いているような人たちです。

間違った逮捕は,一般市民の生活や人生を簡単に破壊してしまいます。

そのため,法律は,裁判官によって警察や検察の横暴がないかどうか,いちいちチェックさせているのです。

 

もっとも,実際には,法律の期待した裁判官によるチェック機能は働いておらず,裁判官が警察の言うがままに逮捕状を出してしまうので,無実の市民が逮捕されてしまうことも多いわけです。