私は,無実です。

先週いっぱいかけて,強姦致傷事件の裁判員裁判の弁護人として公判を担当していました。被告人は外国人ですので,通訳を介した裁判です。

逮捕後,一貫して無罪を主張し,法廷でも無実を訴えました。

被害者の主張とは真っ向から対立しています。

 

検察官の求刑は,懲役10年。

 

判決は,無罪ではなく懲役6年(未決勾留日数100日を算入)でした。

残念です。被告人は,即日控訴しました。

 

無罪主張が破れ,判決で「反省がない」と非難されたのに,どうして求刑の10年から懲役6年にまで大きく減軽されたのか?

……などなど,書きたいことはたくさんあるのですが,控訴審で無罪を争う未確定事件ですので,この事件の具体的事情は,いずれまたここでご報告したいと思います。

 

 

それはともかく,通訳を介した裁判というのは,実に難しいものです。

 

たとえば,あなたが裁判員に選ばれた裁判で,被告人が,

“I am innocence.”

と言ったとします。

それを通訳人が,

「私は,無実です。」

と訳すか,

「オレは,やってねぇ。」

と訳すかの違いで,あなたの被告人に対する印象は1ミリも影響を受けないと,断言できるでしょうか。

もし印象がほんの少しでも異なってしまったとして,それは被告人に責任のあることでしょうか。

 

そして,驚くべきことに,警察の捜査や刑事裁判でプロの通訳人として仕事をするために,語学力に関する資格は一切不要なのです。

 

私の所属する日弁連の刑弁センター制度改革小委員会では,数年前から司法通訳について研究と立法提言を続けています。

来週の土曜日には,弁護士と通訳人向けのシンポジウムを開催し,私がその司会をする予定です。

それについても,またご報告しますね。