妖しい法律(その3)~裏DVD解禁を小声で叫んでみる~

日本では,無修正エロ画像(わいせつ物)を「裏」と呼んで,その頒布や販売目的での所持を重く処罰しています(刑法第175条,「2年以下の懲役若しくは250万円以下の罰金若しくは科料」)。

 

 

今どき,ネットにつなげば,多数の海外サーバーから大量の無修正ポルノ画像・モロ動画を常時ダウンロードし放題であることは,ネットユーザーなら誰でも知っている常識です。

にもかかわらず,今も,裏DVD数枚を客に販売したなどという馬鹿げた罪で逮捕され,刑務所に服役させられる人たちが存在します。

 

 

もちろん,現実の子どもを被害者とする児童ポルノなどは,厳しく取り締まるのも当然でしょう。

しかし,そうではない一般的なわいせつ物の販売等は,いわゆる「被害者なき犯罪」です。

特定の被害者ではなく,広く日本の社会風俗を害するかどうか,その行為者の処罰によって善良な風俗を維持する効果があるのかどうかが問題となります。

 

たしかに,人前で堂々とエロ画像などをやり取りしていれば,観たくない人の目にも入って嫌悪感を覚えさせるでしょうし,子どもにも悪影響を与えかねません。

でも,それならコンビニで売っている「表」のエロ本や,嫌でも勝手に出てくるネット広告のほうを処罰すべきはずです。

 

繁華街の人目につかない裏道の,大人だけが入れる店のそのまた奥のほうで,大人が大人に対して,大人だけが出演する大人向けのDVDを数枚売買したからといって,誰にも迷惑はかかりません。

どうして多額の税金を使ってまで摘発し,今後の人生を奪って刑務所に放り込む必要があるのでしょうか。

 

 

ネット社会においては,商品(物)の流通だけを一部制限しても,わいせつ情報の国家による管理・統制には何の役にも立ちません。

土砂降りの雨の中でのホースによる水まきを規制するようなものです。

 

それどころか,ネット上に規制不可能な大量の無修正エロ情報があふれている現状で,国内で物の販売規制だけをやっていたら,結果的に,国家は刑罰の威嚇によって人々をネット上のエロ無法地帯へと追い立てていることになります。

なんとまぁ妖しい法律でしょうか。

 

 

好むと好まざるとにかかわらず,日本において,市民が個人的に無修正エロ画像・動画を観て楽しむことは,もはや許された趣味の領域になったと言うべきです。

この現実を誰にも止められないでしょう。

 

刑罰によって取り締まるのは,公の場や年齢制限を無視したわいせつ物頒布行為等に限定すべきです。