聖天さまと大黒さま

雨に濡れる白紫陽花(あじさい寺)
あじさい寺(能護寺)の白紫陽花

埼玉県熊谷市に妻沼聖天山(めぬましょうでんざん)という密教寺院があります。

創立は1179年に遡り,御本尊は大聖歓喜天。妻沼聖天は日本三大聖天のひとつだと言われています。

もっとも,日本三大なんとかを一体誰が決めるのかという大問題がありまして,3番目を名乗るところはいくつもあるようですが……。

 

その御本殿・歓喜院聖天堂が,平成15年から8年がかりで修復され,平成24年7月,国宝に指定されました。

本殿の彫刻は,造形・彩色ともに極めて美しく,日光東照宮に勝るとも劣らないことから,埼玉(小)日光とも称されています。

 

 

というわけで,去年の国宝指定からずっと気になって仕方がなかったので,この週末に参拝してきました。

 

 

あいにくの雨模様でしたが,確かに素晴らしい彫刻でした。

中でも有名な,布袋さまと恵比寿さまが楽しそうに碁を打っている場面があるのですが,その横では,杯片手に大黒さま(大黒天)が見守っていました。

 

御本尊の大聖歓喜天は,もともとインドの象頭の神ガネーシャです。

一方,大黒天はインドの破壊神シヴァのこと。

そして,ガネーシャはシヴァの息子なのです。

 

毎日人間たちから願掛けされる福運厄除縁結びの仕事を全部息子に丸投げして,お父さまは気楽にお友達と囲碁遊び中,といったところでしょうか。

 

ちなみに,ガネーシャの頭が象なのは,シヴァが怒りにまかせて息子の頭を切り落としてしまい,それを妻に怒られたため,代わりに象の頭をくっつけたからです。

とんでもないDV親父だこと。

 

 

聖天山の近くには,「あじさい寺」として名高い能護寺もあります。

敷地いっぱいに咲き乱れた紫陽花の彩りが,むしろ雨の中にこそ引き立っていました。