この世の中,全く嘘をつかずに生きている人なんて,いないと思います。みんな,何かを抱えながら生きています。
でも,大事な場面の大切なことで他人を傷つけるような「嘘をつく人」って,本当に嫌ですよね。
弁護士という職業では,残念ながら「嘘をつく人」と接する機会が,普通の人よりも多いと思います。交渉や反対尋問などでは,相手の巧妙な嘘を見破らなければならない場面があるし,そのための技術を磨く努力もしています。
それでも,どうしても見抜けないこともあれば,たとえ見抜けたとしても,やむを得ず気付かないふりをしなければならない場面もあります。
けれども,何といっても一番悔しいのは,嘘だと分かっているのに証拠がなくて嘘を証明できない場合です。
では,刑事裁判の証言席でもっとも多くの嘘をつく証人は,どういう人たちだと思いますか?
それは,圧倒的に「警察官」です。
ある程度の専門性をもって刑事弁護に取り組む弁護士であれば,この結論にあまり異論は出ないと思います。
刑事裁判において,警察官ほど,組織的かつ平然と大きな嘘をつく人たちはいません。
彼らにとって,犯罪行為をしたに違いない被告人を重く処罰することは無条件に正義であり,警察組織を防衛し,被告人を有罪にするための虚偽供述は,正義にかなうのかもしれません。
正義感でやっているならまだ救われますが,実際の印象では,正義感というより単に上司の方針と顔色に従っているだけ,というのが本音のようです。これを見抜けず,あるいは,知っていて積極的に利用する検察官もいます。
その一方で,警察官の「嘘」を立証するための証拠は,すべて警察と検察が持っているのですから,やりきれません。
取り調べの全面的な可視化をすれば,警察官の嘘の3分の2くらいが暴かれる(不可能になる)わけですが,だからこそ彼らは必死で反対しているんでしょうね。
裁判で,証人は嘘をつかないという宣誓をしてから証言します。
どうせなら,警察官には「指切りげんまん」してもらったらいいんじゃないでしょうか。
指切りげんまんの「げんまん」は「拳万」と書き,拳骨で1万回タコ殴りにするという意味。「嘘ついたら針千本飲~ます!」は,縫い針千本を飲ませる刑に処するということ。
それ以前に,指切りは本当に指を切って約束することなのです。
なんでも,昔の遊女が自分の小指を切って思い人に送った習慣が起源だとか。
子どもが歌に合わせて小指を絡めてぱっと放すあれは,「小指を切る」動作から来ているのです。
ヤクザが小指を詰めるのも起源は同じようですね。
でも,宣誓を指切りげんまんにしたら,証人はみんな小指がなくなっちゃう?
いいえ。
実は,昔も,男女が互いに送り合うための「偽物の指」が売られていたんだそうです。今なら大層精巧に作れることでしょう。
あ,それじゃ宣誓と同じか……。
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