台湾映画「KANO 1931海の向こうの甲子園」を観ました。
台湾が日本統治下にあった1931年,まだ一勝もしたことのなかった台湾南部の弱小野球部・嘉義農林学校(嘉農=KANO)が,台湾代表,そして日本の甲子園出場を目指す話です。
台湾映画ですが,セリフの9割以上は日本語。ほぼ実話に基づいており,映画だけではわからない時代背景や登場人物について知れば知るほど,深い味わいが胸に広がります。
この映画が,日本ではなく台湾で制作され,台湾で史上初となるアンコール上映となったことが,何より嬉しい。立法院占拠中の学生たちも観たとか。
185分という長い映画ですが,あっという間でした。映画館は,ほぼ満席。
もろに(ある意味で非常にベタな)野球映画なのですが,そこは「実話」の持つ重みが最高に効いていて,野球が好きでなくても十分におもしろいですよ。
あれこれと集めた裏話などを書きたいところですが,それも含めてなるべくたくさんの方に自分で観て,自分で知ってもらいたいので,今はやめておきます。
ただ,劇中の「八田先生」(八田與一:はったよいち)の名前くらいは,先に知っておいていただくといいですね。
台湾人にとっては説明不要の有名人ですから,映画の中では何の解説もされていません。知らないと,「何この人?」って思うかもしれません。
八田は,当時の台湾で,映画にも出てくる嘉南大圳(かなんたいしゅう)という大規模水利事業などを行った日本人です。台湾を愛し,台湾に愛された人で,烏山頭ダムには今も彼の銅像があり,毎年,命日の慰霊祭も行われています。
是非,覚えておいてください。
この映画とは関係ありませんが,台湾では,今も神様として祀られている日本人が複数います。
よく知られているところでは,飛虎将軍(杉浦茂峰)と義愛公(森川清治郎)。
飛虎将軍は,当時の日本軍人です。台南上空で米軍機と零戦で戦い破れ,集落に落下して大火事となりそうなところを命懸けで避け,落下傘で降下中に機銃掃射を浴びて亡くなりました。
お廟では,今も毎日「君が代」と「海ゆかば」が斉唱されています。
義愛公は,台南に赴任した当時の日本人警察官です。村民のために寺子屋を開いて自費で読み書きを教え,衛生教育に努めたり,体を張って村民の命を助けたりしました。最期は,村民に代わって重税に抗議し,謀反の煽動を疑われて自死しました。
警官の制服姿の彼が祀られた富安宮は,地元の人々が毎日お線香を絶やさずに守り続けています。
そういえば,これらはいずれも台南,特に富安宮はKANOと同じ嘉義県ですね。
また台南に行きたいなぁ。
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Rolande Croft (木曜日, 02 2月 2017 04:53)
It's wonderful that you are getting ideas from this piece of writing as well as from our argument made here.