真逆の立場で死亡事故を観る

現在,交通事故事件を同時に何件か抱えています。


これは交通事故に限ったことではないのですが,同じ種類の事件をいくつも抱えていると,同時並行で,まったく逆の立場で仕事をすることもあります。


先日,同じ日の午前と午後に,続けて交通事故の被害者側と加害者側の双方の立場で裁判をしたことがありました。

いずれも,交通事故で被害者が死亡している過失運転致死等事件の刑事裁判で,被告人質問や求刑などを行う一番大事な審理期日でした。


一件は,加害者(被告人)の弁護人という立場での裁判。

法廷で,被告人と弁護人(私)の席の向かい側,検察官席の横には,被害者参加したご遺族と被害者代理人が座っておられました。


もう一件では,私が被害者のご遺族の代理人として,ご遺族と一緒に法廷に座りました。


弁護士として異なる立場を代理することは日常の景色ですが,真逆の法廷が同日に重なるのは,さすがに多少の奇縁と言えます。



交通事故の死亡事案は,人の命に直接かかわる事件の代表格のひとつです。

ご遺族の感情は,もはや言葉では言い表せないものがあります。

飲酒や無免許などの特に危険な運転行為であった場合はもちろんのこと,通常の過失運転でも,無保険車の場合とひき逃げの場合は,被害感情が段違いに高まります。これらの問題は,運転者において,いくらでも防ぐことができたはずだからです。


一方で,加害者もまた,人を殺してしまったという重荷を背負い,生涯,悩み苦しむことになります。

酷い運転者や反省のない犯人もいるにはいますが,多くの加害者は,自らもまた深い闇を抱え込みます。

それが交通事故事件である限り,誰かを傷つけようと思って事故を起こした人は,一人もいないのです。(車を凶器としてわざと人を殺した場合,交通事故事件ではなくなり,刑法の殺人罪などが適用されます。たとえば,秋葉原の歩行者天国にトラックで突っ込んで無差別に人を殺傷した事件では,殺人罪と殺人未遂罪が適用されています。)


誰であれ運転をする以上,思いがけず加害者となる可能性を強く心にとめておくべきです。

ただ,自分で運転をしなければそれでいいのかというと,そうではなく,人に運転させる場合には,運行供用者という立場での重い責任が発生することがあります。

タクシーに乗る場合とかは別として,誰かに運転をさせる,してもらう場合も,しっかりとした責任感を持ちたいですね。



とはいえ,実は,タクシーの事故率は一般車よりも何倍も高いという大問題がありまして……。

現代社会で生きていく以上,交通事故の脅威からは誰も逃げられないようです。

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